花立峠から禿岳「五合目のナゾ」

山歩家i

2019年07月11日 15:34

山行日 令和元年(2019年) 7月10日(水) 曇り時々晴れ 三名

今回の目的地は禿岳(かむろだけ:標高1261m)。
山形県(最上町)と宮城県(大崎市)の県境に位置しており、鬼首カルデラの外輪山群の最高峰となっている。別名小鏑山(こかぶらやま)とも呼ばれる。

さらに「やまがた百名山」のひとつとして選定されている山でもある。
私は今回が初の訪問だ。



山容は鬼首側から見た方が断然に見栄えがする。(と勝手に思う)
標高はそれほどではないものの、高原の先に広がる裾野から悠然とそびえ立つ姿は雄大である。東側(宮城県側)の斜面は山頂付近から切れ落ちており、その峻険な山容からリトル谷川岳などと表されることもある。ちなみに標高は東日本大震災で1mほど低くなったらしい。地球のエネルギーおそるべし。



登山口は山形県側、宮城県側から何本かあるが、今回は県境の花立峠から、という一番ポピュラーなルートを登ることにした。
ただし、最上町側から花立峠まで行くにはけっこう大変な林道を行くことになる。私の軟弱乗用車では行きたくない。一方、鬼首からは快適な舗装道路で峠までいける。県境で道路の様相がはっきり違っているのが見て取れるのが面白い。
最上町のHPをみても花立峠ルートを登るなら鬼首側からのアクセスが推奨されているほどだ。

ということで、我が家からは距離的には20kmほど遠回りになるが、少しでもリスクをとりたくない性分の私は迷うことなく鬼首側から花立峠へ向かうことにした。先日、荒雄岳に登ったので鬼首までは勝手知ったる道だ。



鬼首スキー場を過ぎ、禿高原から禿岳の全容が見えてきた。山頂が雲に隠れている。登頂するまでに晴れてくれればいいが…。



花立峠の駐車スペースは10台ほどは置ける広さだが、すでに二台の車があった。
ここからすぐに登山道が始まる。風衝地帯なので風もけっこう吹いている。今日の気圧配置としては太平洋の北側に高気圧があるので東風だ。 
そのせいで東斜面を駆け上がった空気が山頂付近で次々と雲を形成している。打って変わって西側(山形県側)は青空も見えて穏やかなお天気である。


アザミ嬢が綺麗に咲いて虫たちを誘っていた


一合目、比較的楽な歩きである


面白い枝振りのブナが林立している


アリドウシが登山道の傍らにたくさん咲いている


二合目 このあたりから少しずつ斜度が増してくる


目玉親父化したギンリョウソウがたくさん咲いている


三合目 このへんはまだ余裕


東に目をやると霞がかった向こうに先月登った荒雄岳が見える


四合目あたりからけっこうな急登になってきた


このあたりが全行程の中でいちばんきついかもしれない。


急登にあえいだ坂を登り切ると、東側の風景が目の前に広がる


そして六合目 ・・・ え?六合目? 五合目は?
五合目がない! そんなばかな… と思いつつ歩を進める。


七合目 この辺からようやく急登から解放される。


ただし、こんな風の強い日は、東側が切り立った登山道歩きはなにげに神経を使う


山頂方面は相変わらずガスガス┐('~`;)┌


八合目 やっとここまで来た


ヘビイチゴが美味しそうに実っている。ただし見た目だけで美味しくはない。


九合目 かたわらに不動明王の小さな祠が祀られている。
ここまでくれば山頂は目と鼻の先だ


このへんはようやく雪が消えたばかりなのだろうか、いろんな花が見えだした


アカモノ


イワイチョウ


ミツバオウレンもまだ残っていた


マイヅルソウもまだ咲いていた


イワカガミ


ウラジロヨウラク


ゴゼンタチバナ


そしてついに山頂到着。
途中で駐車スペースの二台の車の持ち主と思われる登山者とスライドしたので、予想通り山頂には誰もいなかった。さすがは平日、人が少ないのは大歓迎だ。


雲が消え去ることを願いつつ登ってきたが、希望むなしく山頂からの風景は360度ガスに遮られ何も見えない。残念だがしかたがない。ま、こんなこともあらーな。

ただし、山頂付近も風が強いだろうなと覚悟していたが、それほどでもなかったので助かった。とりあえずここで昼食。

お昼を食べていると、次第に頭の上に青空が見えてきた。


そしてほんの1~2分だけだが、栗駒山が姿を現した。さすが、さきほど不動明王にお賽銭をあげてお詣りした御利益か!


振り返るとうっすらと火打岳や神室山の奥に鳥海山も見える。
残念ながら月山方面は厚い雲に遮られ見えなかったが、それ以外は山頂からのパノラマを楽しむことができた。


しかしそれも一瞬のこと、視界はすぐにガスにさえぎられてしまった。
残念ではあるがしょうがない。昼食を終え下りに取りかかる。

さて、下りでは重要なミッションが待っていた。
五合目はほんとうに無かったのか!? 確かめねばならない。

下りで六合目を過ぎ一番の急坂となったところでそのナゾが解けた。



急坂の途中、木の葉に隠れるように五合目の札がひっそりと掲げてあるではないか。
なーんだ、あるんじゃないの、五合目。でもこれじゃ目立たないなあ。しかも割れてるし…

だいたいにおいて五合目付近は一番斜度がきつい所なので、登りも下りも足下に神経が集中してるだろうから、見逃す人は意外に多いかもね。

ただ、へそ曲がりな私としてはちょっと残念だったりする。 
5合目がない」ほうが、なんかミステリアスで面白かったのにな(^^;。


登山口まで下りてきて振り返ると、山頂方面はまだガスっていた。
今日は一日こんなお天気なんだろうな。


車に戻って、スキー場方面に下っていく。
途中、再び禿岳をみやると、あらら、今頃になって我々を見送るかのように綺麗にその山頂を現しているではないか。

なんだかなー ┐('~`;)┌

せめて、山頂にいるときに晴れてくれりゃよかったのに(涙)…と、愚痴が出かかったが、これも自然、文句を言ってもしかたのないことだ。

無事に行ってこれただけでも感謝しなければならない。


鬼首温泉の「目の湯」で汗を流して帰途につく。 


こぢんまりした温泉だったが、ほぼ貸し切りで良いお湯だった。


何合目付近か場所は伏せておくがカキランコケイランも咲いていた。

禿岳、なかなかの侮りがたい山である。

2019.07.14追記
カキランではなくコケイランのようですので訂正します。

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