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山歩家はかく語りき

-晴登雨茶- 明日やれることは無理して今日はやらない主義です

フトコロの深さを知った「一切経山」

   

山行日:2018年7月11日(水) 2名 曇り 山頂は風強し 

東北地方はいまだ梅雨が空けず、気温は高いがいまひとつスッキリしないお天気が続く。

私の中の暦では、6月末から7月中旬にかけて「月山のクロユリ」と「栗駒山のサワラン」を探しに行くというのが毎年のルーチンワークとなっているのだが、おかげさまで今年もまずは、先週、月山で無事にクロユリを見ることができた。

その勢いで今週は栗駒山へ行こうと考えていたのだが、残念なことに彼の地の天気予報があまり芳しくなかったため栗駒山は断念、目的地を北から南へ180度転換して福島の一切経山(1948.8m)へ登ってみることにした。

フトコロの深さを知った「一切経山」

磐梯吾妻スカイラインは何度か通ったことがあるので、一切経山周辺の一種異様な風景は見たことはあるが、私にとって登るのは初めての山である。

フトコロの深さを知った「一切経山」
山を見上げると、中腹ほどから火山ガスがもくもくと立ち上っているのが見える。 以前はその山腹を直登する登山道もあったそうで、昔、実際そこを登ったことがあると今回の同行者が語ってくれたが、看板を見るといまは立ち入り禁止になっているようだ。

フトコロの深さを知った「一切経山」
 
今回は、浄土平から酸ヶ平避難小屋を経由して山頂へ至り、帰りは酸ヶ平から鎌沼を周回して浄土平に下って来るという定番コース。 

とはいえ、この浄土平〜酸ガ平小屋〜山頂コースも2014年12月から2016年10月まで噴火警戒レベル2とされ立ち入りも制限されていたとも聞くので、注意を怠ることは出来ない。

フトコロの深さを知った「一切経山」
酸ヶ平まではシャクナゲが山腹一面に咲いていて、目を楽しませてくれる。 登山道もしっかりしているので安心だ。

フトコロの深さを知った「一切経山」
振り返るとシャクナゲが咲く斜面の向こうに東吾妻山が見える。

フトコロの深さを知った「一切経山」
薮の中に隠れるように咲くツマトリソウ。

フトコロの深さを知った「一切経山」
登山道脇に珍しくオニノヤガラも咲いていた。ギンリョウソウと同じく葉緑素を持たない腐生植物である。

フトコロの深さを知った「一切経山」
イワカガミは浄土平周辺ではもうすでにタネになっていたが、酸ヶ平あたりまで標高が上がってくるとまだたくさん咲いている。

フトコロの深さを知った「一切経山」
酸ヶ平湿原の入口で山頂方面→と鎌沼方面↑との道が分岐する。

フトコロの深さを知った「一切経山」
酸ヶ平避難小屋は無人小屋でありながら、きちんと整備され、トイレまで完備している立派な小屋だ。

フトコロの深さを知った「一切経山」

酸ヶ平小屋を過ぎると、徐々に風景が変ってきて、次第に石や岩だらけの山容となる。 とはいえ、急登はないのでその点はありがたい。 

フトコロの深さを知った「一切経山」
雰囲気的には蔵王の熊野岳にも似ている。
コマクサが咲いていてもおかしくなさそうな礫地であるが、そういう話は聞いたことがない。 仮にどこかに咲いていたとしても、登山道以外はほとんどが立ち入り禁止のため見つけるのは難しいだろう。

フトコロの深さを知った「一切経山」
火山活動をモニターしていると思われる機器があちこちに設置してある。

フトコロの深さを知った「一切経山」
周囲には噴火で飛散したような軽石状の噴石がゴロゴロと転がっており、いまなお息づく地球の営みの一端を垣間見せられたような気分になる。風も次第に強くなってきた。 

フトコロの深さを知った「一切経山」
綺麗な火口をもつ吾妻小富士がはるか下の方に見える。

フトコロの深さを知った「一切経山」
広大な山頂には誰もおらず、ただ風速15〜20m/sほどの強風だけが吹き荒れていた。 

フトコロの深さを知った「一切経山」
山頂に立ってはじめて見ることの出来る五色沼、魔女の瞳とは言い得て妙である。

息をのむほど華麗なその姿を目に収めたら、魔女の呪術にかかる前に早々に下山開始。 
山頂では強風に吹かれ体温が下がったせいか、ほんの数分下っただけで周りの空気の温度が上がってくるのがわかる。

フトコロの深さを知った「一切経山」
帰り道は酸ヶ平の湿原の木道を歩き鎌沼を周回するコースをとる。

フトコロの深さを知った「一切経山」

一切経山の懐深く酸ヶ平湿原に分け入ると、山頂付近の荒涼とした風景とはうってかわって優しい風景を見せてくれる。湿原を吹き渡る風にコバイケイソウが揺れて、なんとも長閑な風景だ。

フトコロの深さを知った「一切経山」
木道の脇に咲くコバイケイソウ

フトコロの深さを知った「一切経山」
ミヤマリンドウもたくさん咲いていた。

フトコロの深さを知った「一切経山」
モウセンゴケの米粒ほどの小さな白い花も咲いていた。

フトコロの深さを知った「一切経山」
繊細なカラマツソウも風に揺れている。

フトコロの深さを知った「一切経山」
ゴゼンタチバナは慎ましやかに咲く花ながらどこか毅然としたイメージがある。

フトコロの深さを知った「一切経山」

鎌沼のほとりでのんびり昼食を取って、下山。
 
鎌沼からの登山道はところどころ雨水や雪解け水で削られてドロドロの箇所もあるが、朽ちた木道部分は順次新たなものに設置しなおされているようで、手を掛け整備されている様子を伺い知ることができる。 

フトコロの深さを知った「一切経山」

それよりなにより、一切経山といえばあの荒涼とした山容しかイメージになかったが、それは表側から見える一部分であって、その懐にはこんなにも素晴らしい自然や風景が隠れていたとは、恥ずかしながら今回の山行で初めて知ることができた。 

機会があれば、次回はぜひ東吾妻山まで足を伸ばしてみたいものだ。

フトコロの深さを知った「一切経山」

帰りに、浄土平ビジターセンターで教えてもらった高湯温泉の共同浴場「あったか湯」で汗を流してきたが、硫黄(ユノアワ)の香りも高く、「これぞ The 温泉!」と云える良いお湯だった。風呂は屋根のかかった露天風呂で開放感がある。

実は高湯温泉の湯は硫化水素ガス(いわゆる硫黄の匂いと表現されるもの)を多く含んでいるのだが、風呂が源泉から近すぎてお湯からそのガスが十分抜けきらないためにわざと露天にしているとのこと。また法律上、露天風呂にはシャワーや石けん、シャンプーも常置できないそうで、当然ながらそれらも無い。しかしこれで250円ならリーズナブルだ。

「一切経山」に登ったら「あったか湯」温泉

これもまた新たに私のルーチンに加わったかも…そんな山行だった。


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