いと奇観なり 肘折温泉・地蔵倉
山行日 2019年9月4日(水)晴れ 2名
この夏も月山や熊野岳を始めとしてあちこちの山で花々を楽しんできたが、忙しさと酷暑に負けてブログ更新をさぼってしまった。
久々のエントリーは、やまがた百名山めぐり。 今回は肘折温泉にある地蔵盛山の地蔵倉である。

季節は9月になり、肘折温泉に至る道の両側に広がる畑ではソバの花が満開だった。
さて、地蔵倉にたどり着くには、肘折温泉から地蔵盛山(594m)を中腹まで登り、切り立つ断崖に削られた、ひと一人がやっと通れる小道を進んでいかねばならない。そのため、やまがた百名山のグレードでは、体力度こそ1だが、技術的難易度はDにランクされている。やまがた百名山サイト・地蔵盛山のページはこちら
その険しい道の先に奥の院と呼ばれる小さなお堂があるのだが、これまた断崖で、よくぞこんなところにというような場所に建っている。そこが地蔵倉と言われる場所であり、知る人ぞ知る隠れたパワースポットなのである。

肘折温泉の駐在所脇に駐車場があるのでそこに車を駐めて出発。

5分ほど歩くとひなびた温泉街に出る。
肘折温泉は県内でも名うての豪雪地帯であり、湯治場としても有名な温泉郷だ。

その温泉街にある神社の鳥居がスタート地点。(上の湯のとなり)

石段を登ると薬師神社に出る。

神社にたどり着くとそのまま左に行きたくなるが、地蔵倉へ至るルートは神社裏の左奥にひっそりとあるので見落とさないように気をつけたい。

登り口は倒れている標柱が目印。

杉林の中を登る

しばらく登るとブナ林に変わって古峯神社という石碑に出会う。

そこを過ぎるとしばらくは平坦な道のりとなる。

広場が出てきた。

広場の先で舗装道路(肘折温泉に至る道)に出る。

しばらく舗装道路歩きとなる。この部分はこの山行で唯一興ざめな道行きだ。

舗装道路を右に進むとすぐに国道458号線に出合うので、直進して寒河江方面に歩を進める。 この道路は国道でありながら全国唯一、未舗装の区間が残っており「酷道」と揶揄され、マニアの間では名の知られた狭隘な峠道だが、土砂崩れなどのためにだいぶ前から全面通行止めである。

通行止めではあるが、かといって復旧工事は全然行われていない。どうせ年中土砂崩ればかり起こるし、一年の半分近くは雪で閉鎖されるしで、行政もわざわざお金を掛けて直す気などさらさらないように見受けられる。 「当面の間 通行止め」という看板がなにげにそれを物語っている。

通行止めの舗装道路を少し歩くと、再び石段の登山口に出会う。この入口までは車も入ってこれるので、少しでも短距離の歩きで済ませたい人は直接この登山口まで車で来て路駐、ということでもOKかと思う。(もちろん通行止めが解除された場合はダメだけど)

石段を登り切ると斎藤茂吉の歌を刻んだ石碑が出迎えてくれる。
「肘折のいで湯浴みむと秋彼岸の 狭間路とほくのぼる楽しさ」
まさにいまの季節にぴったりではないか。

しばらく登山道が続く。

途中にある「子造り地蔵」を過ぎ、更に登ると

突然、前の方の視界が開け、断崖を削っただけの人一人がやっと通れる道が現れた。

転げ落ちれば怪我どころか命を落とす危険さえある。ただし、鉄柵が設けられているのでそれほどの恐さはない。

ちなみに肘折という地名は、大昔にこの崖から転げ落ちた修行僧が肘を折る大怪我をして、その傷をこの地の温泉で治したところから付けられた聞く。 ここで私も肘を折ってはシャレにならないので慎重に歩を進める。

ほどなくして天空に突き出た一本松に至り、そこからむき出しの岩壁を削っただけの石段を登る。

地蔵倉の奥の院が見えてきた。

お堂の前には数体のお地蔵さんが安置されている。 そして奇観なのがその岩である。

岩の至るところにヒモが結びつけられている。
ここ肘折はカルデラなので、この山も火山の噴石物が堆積した凝灰岩なのだが、もろい岩石のためにいたるところに自然に出来た穴があいている。
いつの頃からか、その穴に「こより」を通して結ぶと願い事が叶うとされ、所願成就を願う老若男女の手によって到るところにこよりが結びつけられているのだ。なかには靴ひもが結びつけられているものまであったのだが、その人はいったい帰りはどうやって下山したのだろう…。

しかも良いご縁がありますようにと五円玉を通してぶらさげいるものも多い。
実は今回、私も是非ひとつ結んで願掛けしたいと準備してきていた。
早速穴を捜してみるが、もうほとんどの穴にはこよりが通されているので、なかなか空いている穴を探すことが出来ない。

ようやく一つ探し出して、お賽銭代わりに五円玉を通してぶら下げてきた。
良いことがありますように…


さて、来た道を戻り、道路に出たら今度は左に曲がり、登りとは違うルート(源泉公園方面)を下りることにした。

国道を歩きながら見上げると、いま通ってきた崖の山道がはるか上に見える。

カーブを二つ三つ越したところに目印のお地蔵さんと標柱があるので、そこから下りの山道にはいる。

こちらは急坂が続くので、下りで使った方が楽だ。

見事なブナやスギが混在する山道を下っていく。

こちらのルートは歩く人も少ないせいだろうか、ところどころ草が茂り踏み跡が見にくいところもあるが、危険な箇所はない。

しばらく下ると、銅山川にかかる砂防ダムに行き着く。

その直下に弘法の湯記念という石碑とともに足湯があるのだが、うーむ… あまり綺麗でないのが残念だった。

その先、第3号源泉をぬけると登り始めた温泉街に戻ることができる。

時間がゆっくりと流れるような温泉場を通っていくと

まるでタイムスリップしたような気分になる。

車に戻って、「肘折いでゆ館」で一風呂浴びて汗を流し、帰途についた。

帰り道で、日本の棚田百選にも選ばれている「四ヶ村の棚田」に寄ってみた。
あと何週間かすれば稲刈りも始まるだろう。田んぼの稲は穂を実らせ首を垂れていた。
この夏も月山や熊野岳を始めとしてあちこちの山で花々を楽しんできたが、忙しさと酷暑に負けてブログ更新をさぼってしまった。
久々のエントリーは、やまがた百名山めぐり。 今回は肘折温泉にある地蔵盛山の地蔵倉である。

季節は9月になり、肘折温泉に至る道の両側に広がる畑ではソバの花が満開だった。
さて、地蔵倉にたどり着くには、肘折温泉から地蔵盛山(594m)を中腹まで登り、切り立つ断崖に削られた、ひと一人がやっと通れる小道を進んでいかねばならない。そのため、やまがた百名山のグレードでは、体力度こそ1だが、技術的難易度はDにランクされている。やまがた百名山サイト・地蔵盛山のページはこちら
その険しい道の先に奥の院と呼ばれる小さなお堂があるのだが、これまた断崖で、よくぞこんなところにというような場所に建っている。そこが地蔵倉と言われる場所であり、知る人ぞ知る隠れたパワースポットなのである。
肘折温泉の駐在所脇に駐車場があるのでそこに車を駐めて出発。
5分ほど歩くとひなびた温泉街に出る。
肘折温泉は県内でも名うての豪雪地帯であり、湯治場としても有名な温泉郷だ。
その温泉街にある神社の鳥居がスタート地点。(上の湯のとなり)
石段を登ると薬師神社に出る。
神社にたどり着くとそのまま左に行きたくなるが、地蔵倉へ至るルートは神社裏の左奥にひっそりとあるので見落とさないように気をつけたい。
登り口は倒れている標柱が目印。
杉林の中を登る
しばらく登るとブナ林に変わって古峯神社という石碑に出会う。
そこを過ぎるとしばらくは平坦な道のりとなる。
広場が出てきた。
広場の先で舗装道路(肘折温泉に至る道)に出る。
しばらく舗装道路歩きとなる。この部分はこの山行で唯一興ざめな道行きだ。
舗装道路を右に進むとすぐに国道458号線に出合うので、直進して寒河江方面に歩を進める。 この道路は国道でありながら全国唯一、未舗装の区間が残っており「酷道」と揶揄され、マニアの間では名の知られた狭隘な峠道だが、土砂崩れなどのためにだいぶ前から全面通行止めである。
通行止めではあるが、かといって復旧工事は全然行われていない。どうせ年中土砂崩ればかり起こるし、一年の半分近くは雪で閉鎖されるしで、行政もわざわざお金を掛けて直す気などさらさらないように見受けられる。 「当面の間 通行止め」という看板がなにげにそれを物語っている。
通行止めの舗装道路を少し歩くと、再び石段の登山口に出会う。この入口までは車も入ってこれるので、少しでも短距離の歩きで済ませたい人は直接この登山口まで車で来て路駐、ということでもOKかと思う。(もちろん通行止めが解除された場合はダメだけど)
石段を登り切ると斎藤茂吉の歌を刻んだ石碑が出迎えてくれる。
「肘折のいで湯浴みむと秋彼岸の 狭間路とほくのぼる楽しさ」
まさにいまの季節にぴったりではないか。
しばらく登山道が続く。
途中にある「子造り地蔵」を過ぎ、更に登ると
突然、前の方の視界が開け、断崖を削っただけの人一人がやっと通れる道が現れた。
転げ落ちれば怪我どころか命を落とす危険さえある。ただし、鉄柵が設けられているのでそれほどの恐さはない。
ちなみに肘折という地名は、大昔にこの崖から転げ落ちた修行僧が肘を折る大怪我をして、その傷をこの地の温泉で治したところから付けられた聞く。 ここで私も肘を折ってはシャレにならないので慎重に歩を進める。
ほどなくして天空に突き出た一本松に至り、そこからむき出しの岩壁を削っただけの石段を登る。
地蔵倉の奥の院が見えてきた。
お堂の前には数体のお地蔵さんが安置されている。 そして奇観なのがその岩である。
岩の至るところにヒモが結びつけられている。
ここ肘折はカルデラなので、この山も火山の噴石物が堆積した凝灰岩なのだが、もろい岩石のためにいたるところに自然に出来た穴があいている。
いつの頃からか、その穴に「こより」を通して結ぶと願い事が叶うとされ、所願成就を願う老若男女の手によって到るところにこよりが結びつけられているのだ。なかには靴ひもが結びつけられているものまであったのだが、その人はいったい帰りはどうやって下山したのだろう…。
しかも良いご縁がありますようにと五円玉を通してぶらさげいるものも多い。
実は今回、私も是非ひとつ結んで願掛けしたいと準備してきていた。
早速穴を捜してみるが、もうほとんどの穴にはこよりが通されているので、なかなか空いている穴を探すことが出来ない。
ようやく一つ探し出して、お賽銭代わりに五円玉を通してぶら下げてきた。
良いことがありますように…
さて、来た道を戻り、道路に出たら今度は左に曲がり、登りとは違うルート(源泉公園方面)を下りることにした。
国道を歩きながら見上げると、いま通ってきた崖の山道がはるか上に見える。
カーブを二つ三つ越したところに目印のお地蔵さんと標柱があるので、そこから下りの山道にはいる。
こちらは急坂が続くので、下りで使った方が楽だ。
見事なブナやスギが混在する山道を下っていく。
こちらのルートは歩く人も少ないせいだろうか、ところどころ草が茂り踏み跡が見にくいところもあるが、危険な箇所はない。
しばらく下ると、銅山川にかかる砂防ダムに行き着く。
その直下に弘法の湯記念という石碑とともに足湯があるのだが、うーむ… あまり綺麗でないのが残念だった。
その先、第3号源泉をぬけると登り始めた温泉街に戻ることができる。
時間がゆっくりと流れるような温泉場を通っていくと
まるでタイムスリップしたような気分になる。

車に戻って、「肘折いでゆ館」で一風呂浴びて汗を流し、帰途についた。
帰り道で、日本の棚田百選にも選ばれている「四ヶ村の棚田」に寄ってみた。
あと何週間かすれば稲刈りも始まるだろう。田んぼの稲は穂を実らせ首を垂れていた。